2019.09.22 Sunday

「死にゆく人の心に寄りそう」の感想

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    今回は本の紹介です。他の医療職の方よりお借りしていた、玉置妙憂さん「死にゆく人の心に寄りそう」(光文社新書)を読了しました。

     

     

     

     

    内容を一言で表すと、帯に書いてある通り、「現役看護師の女性僧侶が語る、平穏で幸福な死を迎える方法と、残される家族に必要な心の準備」。

     

     

    前半では、夫を自宅で看取った経験を元に、看取りに際して、本人はどのような体の変化を迎えていくのか、点滴など過剰な処置は負担になってしまうなど・・の医療知識を教えてくれます。とても詳しく、それでいて分かりやすく、これを事前に読んでおけば、在宅看取りを半分経験したような気持ちになれるはずです。

     

     

    ただ玉置さんにとってみれば、これは書きたいことのほんの序章なのでしょう。夫を看取った後、なんとなく「現世の仕事は終えた」という気になり、高野山へ出家することに。辛い修行を経て僧侶となった後は、また病院・訪問看護ステーションへ戻り、看護師そして臨床宗教士としても活躍を始めます。看護師ではなく僧侶として訪問すると、末期の患者さんが今まで話さなかった「心の悩み」を話してくれるようになったそうです。

     

     

    宗教士として目指すのはスピリチュアルケア。「私の人生はなんだったの」など答えのない疑問・・決して答えを探すのではなく、話を聞いて向き合うのが大切ということです。

     

     

    後半のパートでは、実際に臨床宗教士が大きな役割を担っている、台湾の紹介がありました。臨床宗教士の育成に力を入れており、医学や看護の習得もカリキュラムに含まれ、みっちり育成されます。一人前になった宗教士は病院に所属し、患者さんの心のケアを行います。そして患者さんが、終末期に自宅へ帰った際も、訪問看護師と同じように自宅へ訪問し、ケアを続けるのだそうです。

     

     

    決して医療知識のアドバイスをするのではなく、宗教的なアプローチを与える。そうすると、心が穏やかになり、過剰な医療を行わずに亡くなる方が多いのだとか。結果、台湾では日本よりも、ずっと看取りに対する満足度が高いというデータが示されていました。総医療費抑制にも役立っているようです。

     

     

    台湾では宗教を信じる人が多いという国民性もありますが、宗教士が大きな役割を果たし、看取りに関して良い方向に導いているのは確か。日本でも、最近になって少数の宗教士の方が活躍しつつありますが、この動きは広がっていくのでしょうか。

     

     

    平易な言葉書かれており、2時間少しくらいで読み終えることができました。後半のスピリチュアルケアを説いた部分も勉強になりますが、まずは「看取りの教科書」とも言えるような前半が必読です。一般の人でも、終末期の人が死にゆく過程をしっかり理解できる、素晴らしい内容になっています。

    2019.01.05 Saturday

    「ソーシャルイノベーション」を読んで

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      本日は本の感想です。「ソーシャルイノベーション 社会福祉法人佛子園が「ごちゃまぜ」で挑む地方創生!」(Amazon)という本を読みました。

       

       

       

       

      石川県にある”佛子園”という、社会福祉法人の事業紹介というべき内容ですが、その取り組み、生み出した結果には素直に圧倒されてしまいます。キーワードは、タイトルにもある「ごちゃまぜ」です。

       

       

      1960年に設立された佛子園は、当初は知的障害者入所施設を中心に運営していました。その後、高齢者デイサービスなど、幅を広げていきます。

       

       

      そして、今注目されているのが「福祉を中心とした街づくり」です。一定区域内に、高齢者デイサービス、障害者施設・・・にとどまらず、天然温泉施設、蕎麦店、フィットネスジム、コーヒー店、地域住民自治室、外国時ゲストハウスなども開設。

       

       

      天然温泉に併設した飲食店では障害者が働き、老人ホーム内には一般の人も立ち寄れる喫茶コーナーがあり、障害者や高齢者、関係なく、あらゆる人たちが触れ合うことができます。結果、皆が刺激をもらえたり、障害者や高齢者が自立するきっかけになったり、はたまた孤立防止・見守りといった効果もみられます。

       

       

      高齢の認知症の人が、障害者の手助けをしているうちに「この子には私がいないとだめ」という責任感がが芽生え、徘徊しなくなったという例も。触れ合いの中で、自分の役割を見つけることもできるのです。

       

       

      佛子園が最初に取り組んだ街づくりは、2014年開業の「シェア金沢」でした。1万坪の土地に、サ高住、障害者施設、放課後デイサービス、学生用賃貸住宅、天然温泉、レストラン、グループホーム、カフェ、バー、ドッグラン、菜園、牧場など多様な機能を取り込みました。こちらの入居者自体は100人ほどですが、外から一般の人たちが絶えず訪れ、敷地内はつねに賑わい、交流が生まれているとのことです。

       

       

      金沢は都会だから成功したと思うかもしれませんが、最近では2018年4月に地域共生施設「輪島カブーレ」をオープンさせています。輪島市は、過疎・高齢化が進み、この10年でも人口が7000人ほど減少、現状で2万8千人だそうです。多くの建物は空き屋を改修したとのこと。目玉の温泉施設には外国人もよく訪れ、活気を生み出しているそうです。

       

       

      これらの街づくりはは本当に素晴らしい取り組みですが、力を持った福祉法人の強力なリーダーシップに、国や市町村の公的支援なども加わってのこと。簡単ではありません。それでも地域創成の大きなヒントであることは間違いなく、参考にしたいと思います。

      2018.10.08 Monday

      堀江貴文氏「健康の結論」を読んで

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        本日は本の感想・・堀江貴文氏「健康の結論」(KADOKAWA)です。

         

         

         

         

        ホリエモンは数々の分野で活躍していますが、「予防医療普及協会」を立ち上げるなど、予防医療の分野にかなり力を入れています。

         

        自分も「在宅医療は大切だけど、病気を予防して在宅医療のお世話になることを遅らせることが、さらに大切」と考えており、予防医療について一般の人にもっと知ってもらいたいと思っております。

         

         

        この本は、「各病気の予防」について、ホリエモンが各分野の専門医師から聞き取りをして、一般の人にも分かるようにかみ砕いて説明する形式をとっています。10章あって読み応え十分なのですが、大きい文字のパートもあるため、短時間で読み切ることが可能です。

         

         

         

        どの章も、医者が読んでも勉強になる箇所ばかりですが、特に印象的であったのが、「大腸癌予防」のコーナー。胃癌予防に対するピロリ菌除去の効能は、かなり知られるところとなってきましたが、大腸癌も努力でかなり予防、もしくは早期発見・治療できるのです。

         

         

         

        現在、”大腸癌”は最もかかる人が多い癌であり、女性の死亡数1位でもあります。なのですが、実際は進行が遅い・・いわゆる“たちのよい癌”であることが多いです。よって、1年に1回検診を受けておけば、大腸癌が見つかったとしても、手遅れの状態であることは少ないと言われます。

         

         

        まず行う検査は「便潜血検査」です。そもそも大腸癌は、“大腸ポリープ”というイボから癌化することが多いのですが、ポリープや癌があった場合、便に血が混じっていることが多いのです。

         

         

        そしていざ、便に血が混じっていると「大腸カメラ(内視鏡)」を勧められることになります。その際にポリープが見つかると、その場で切除することも可能です。

         

         

        そもそも、ポリープができやすい体質というものがあるようで、大腸カメラを受けたときに1個もポリープがなかった人は大腸癌になりにくく、その後5年間に癌が発生する確率は0.3%と、ぐっと安心することができます。

         

         

        少なくとも毎年便潜血検査を行い、血が混じっていたら大腸カメラを受ける・・という単純なことを守ればOKです。しかし、それでも大腸癌による死者が多いのは、検診を受けない、もしくは血が混じっていても病院を受診せず放置する人が多いからだとか。

         

         

        自分も、28歳のときに胃カメラを受けてピロリ菌が見つかり、除菌を行いました。それ以来、毎年健康診断で胃カメラを行っています。

         

         

        ただ大腸カメラを受けたことはありません。近いうちに一度、ポリープがないかなど、調べてみたいと思います。(便潜血がなくとも、保険を使わなければ大腸カメラは可能です)

         

         

        「健康の結論」・・・他にも心筋梗塞、うつ病・自殺、・・などたくさんの分野の情報がありました。歯周病予防のコーナーも大変勉強になりましたが、予防医療を知るうえで、ぜひ手に取ってほしいと思います。

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