2020.11.13 Friday

プラセボの睡眠薬

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    ある施設の寝たきり患者さん。不眠があって、診察のたびに「眠れる薬をほしい」と言われます。

     

     

    ただ、すでに2種類の睡眠薬を服用していますし、寝たきりということで昼に寝てしまうことも多く、新しい薬を出しても、不眠がよくなる見込みはありません。「もう良い薬がなくて・・。なるべくお昼に起きておくようにしてください・・」と言うのが精いっぱいでした。

     

     

    先日、2週間ぶりの訪問に行くと、よく眠れるようになったとのこと。「へえー」と思っていると、職員さんがお菓子のミンティアを「先生がよく聞く睡眠薬を出してくれたよ」と言って飲ませたら、眠るようになったと教えてくれました。

     

     

    ご本人も「あの薬はよく聞く」と言っています。今回は職員さんの自主的な工夫に助けられました。このような職員さんがいる施設は、患者さんも幸せだと思います。

     

     

    さて、実際に効果はないが、薬と信じて飲むことで、効果が出ることをプラセボと呼びます。患者さんの中には、多数の薬を服用して、薬に依存している方もいます。そのような方はプラセボ薬も信頼してくれて、効果が出やすいように思います。

     

     

    在宅では不眠の方が多く、この方法が効果ある方が多くいるようにも思います。本当の薬にはなんらかの副作用はありますので、プラセボで済むに越したことはありません。またどこかで試すかもしれません。

    2020.11.12 Thursday

    血糖値と認知症

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      今晩は「員弁地区・糖尿病療養指導セミナー」、に参加しました。といってもweb開催で、院内からの受講です。

       

       

      ノボ・ノルディスクファーマ株式会社主催であり、冒頭で新製品「ゾルトファイ配合注 フレックスタッチ」の説明がありました。

       

       

       

       

      こちら、国内初の「インスリン+GLP-1受容体作動薬」の配合注射製剤。具体的には、トレシーバ(インスリン製剤)とビクトーザ(GLP-1受容体作動薬)を配合したもので、2019年9月に発売されています。

       

       

      そもそも、インスリンとは膵臓から分泌される血糖値を下げるホルモンであり、GLP-1は食後に主に腸で分泌され、血糖値が高くなったときにインスリンを分泌させるホルモンであります。

       

       

      糖尿病に対して、「インスリン製剤」を1日1回注射している患者さんは多いですが、確かに“HbA1cという平均的な血糖値”を正常に近づけることは可能です。しかし、平均が良くても、その中で血糖値がかなり変動しているケースが多々あります。特に食後にかなり高血糖になっていたり、食前に低血糖になりかけていることがあるのです。

       

       

      一方、「GLP-1受容体作動薬」はインスリンほど強力ではありませんが、血糖値に合わせて効果を発揮するため、食後にはしっかり効いて血糖の上がりすぎを防ぎ、食前にも低血糖になりにくいという特徴があります。

       

       

      ということで、これらの合剤を1日1回注射することで、単に平均値を正常化するだけでなく、血糖変動も正常に近づけやすくなるわけです。

       

       

      さて、そもそもなぜ糖尿病(高血糖)を放っておいてはいけないのか。それは糖尿病の合併症・・動脈硬化からの「心筋梗塞・脳卒中・・」、そして3大合併症である「腎機能低下(→透析)」「網膜症(→失明)」「神経障害(→足を切断することも)」などを予防するためです。

       

       

      それにとどまらず、今回の講義では認知症についても言及がありました。高齢者の糖尿病は認知症の危険因子ということです。そして糖尿病であることに加えて、血糖値の変動が大きいとさらに認知機能悪化につながるそうです。

       

       

      確かに「低血糖を起こすと認知症が悪化しやすい」ということは比較的知られていますが、その逆で「食後の血糖値が高いと、脳委縮や白質病変増加につながる」とのことです。その面でも、より自然な血糖値の変動を達成することが重要である、ゾルトファイが有用であることが分かります。

       

       

      実りある講義を自分の診療所から受けることができ、大変有意義な時間でありました。

       

      2020.11.09 Monday

      インフルエンザワクチンの痛み

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        秋の心地よい気候が続いていますが、当院でも10月からインフルエンザワクチンの接種を始めています。今年もすでに多くの方に注射をしていますが、今年は例年よりも「痛い」と言う人が多いような気がしています。

         

         

         

         

        インフルエンザワクチンといえば皮下注射であり、腕の皮膚をつまんでその中へ注射をしています。針を刺し0.5mlの液を注入するのですが、このぷっくりと皮膚が盛り上がるときに痛みが生じます。皮膚の中に液体が注入され、組織が押されたり引き延ばされたりするので、痛いと感じるのは当たり前かなと感じます。しかし、3割くらいの人は安堵の表情で「全然痛くなかった」と言われるのです。そして、なぜか今年は痛みを訴える人の割合が多い気が・・。

         

         

        自分でも痛みの法則を知ろうと、少し深めに刺したり浅めに刺したり、注入を速くしたり遅くしたり少し変化させているのですが(実験台みたいですみません)、法則は分からずじまいです。

         

         

        調べましたが、液体自体に痛みを起こす成分が含まれているかどうかは、はっきり判明していないとのこと。毎年、ワクチンの内容も変化しますが、それにより痛みが変化する可能性は低いようです。

         

         

        もう一つ原因があるとすれば、昨年に比べて自分の手元が怪しくなっているのかも。細かく震えて、針先が動いているのだったりして。だとすると申し訳ないですが・・

         

        2020.10.15 Thursday

        リハビリの中止基準

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          先日、理学療法士の方より、ある患者さんに対して、リハビリを行ってよい血圧などの基準を教えてほしい・・と相談を受けることがありました。その患者さんは、ふだんから血圧の変動が大きく、運動中は特に大きく上昇することがあるということです。

           

           

          正直、運動中の数値についてどれくらいか安全か、という知識はあまり持ちあわせておりません。そもそも、ここまでの値なら安全でそれ以上は危険、などと数字で明確に言えるはずがありません。

           

           

          「本人が平気な顔をしていたら、多少数値が変動していても大丈夫ではないか」と言いそうになりましたが、リハビリの中止基準として、「アンダーソン・土肥の基準」というものがあると教えていただきました。

           

           

          一部を抜粋すると

          リハビリを行わない方が良い場合

          ・収縮期血圧200以上

          ・拡張期血圧120以上

          ・安静時で脈拍が120/分以上

          ・運動時からすでに動悸・息切れがあるもの

           

           

          運動中、リハビリを中止(終了)すべき場合

          ・収縮期血圧が40mmHg以上、もしくは拡張期血圧が20mmHg以上上昇した場合

          ・脈拍が140/分を超えた場合

          ・中等度の呼吸困難、めまい、嘔気などが出現した場合

           

           

          運動をいったん中断し、回復を待って再開すべき場合

          ・脈拍が30%増えた場合。

           ただし2分間の安静で10%以下に戻らない場合は中止、もしくは軽いメニューへ切り替えること

          ・脈拍が120/分を超えた場合は、それ以下になるまで休む

          ・1分間に10回以下の期外収縮(不整脈の一種)が出現した場合

          ・軽い動機・息切れが出た場合

           

          非常に分かりやすいので、とても参考になります。ただ血圧、脈拍は人によって元の値が違いますし、年齢によっても許容できる変動範囲が違うはず。

           

           

          よって全ての人にそのまま当てはめるのは危険ですが、こちらの基準をもとにしながら、その人の状態に応じてアレンジしていけばよいのかと思います。

          2020.10.02 Friday

          慢性便秘症の治療

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            先日夜は、インターネット上で”慢性便秘症”のお勉強。「新たな時代を迎えた慢性便秘症診療を考える」というテーマで、製鉄記念広畑病院の木下芳一先生によるweb講義を聴講しました。

             

             

             

             

            便秘はとてもありふれた症状。医療機関で薬の処方を受けている人のうち、15%は便秘薬をもらっているという統計もあります。便秘症があるとQOLや労働生産性が大きく低下するとも言われ、便秘の治療はとても重要な分野と位置付けられています。

             

             

            便秘の大きな原因として、大腸の蠕動運動が弱く「便の進みが遅い」ということが挙げられます。特に高齢者や脳梗塞の方は、腸を動かすコリン系神経に異常があり、腸の動きが弱くなってしまうのです。患者さんには「歳をとると歩くのが遅くなるように、便の進みも遅くなるのです」と、よく説明されます。

             

             

            しかし、便秘になるもう一つ大きな原因があって、それは「直腸の伸展知覚」が鈍くなるため。便が腸内を進み、最後に到達するのが直腸で、そこから肛門を経て外へ出されます。

             

             

            ふつう、直腸に便が溜まってくると、私たちはいわゆる”便意”を感じるようになります。しかし、これも加齢や脳梗塞などの要因があると、感じ方が弱かったりします。若い人ならば少し直腸に便がたまっただけで便意を催すのに対し、「直腸の伸展知覚」が鈍くなっている人は、大量に便がたまってようやく便意を感じるようになります。そしてようやく、肛門周囲の筋肉が動いて便を出せるようになるのです。

             

             

            在宅の患者さんでも、ふだんはなかなか便が出ないのに、出るときには大量に出て、布団を汚してしまう人がいます。これも上記のような理由と思われます。

             

             

            今回の勉強会は、EAファーマ/持田製薬の共催で、以前ブログでも紹介した「エロビキシバット(製品名:グーフィス)」の宣伝へとつながっていきました。グーフィスは、大腸での胆汁酸の再吸収を抑えることで、大腸内の水分を増やし蠕動も増やすというしくみでした。それに加え、直腸内に胆汁酸が溜まると「直腸の伸展知覚」が改善するという報告もあり、さらなる効果が期待できるそうです。

             

             

            昔からある酸化マグネシウム製剤(商品名:マグミットなど)は、腎機能が悪化して副作用が出たり、また胃薬で胃酸を抑えている状態では効果が減弱したりと、効果が不安定であることもあります。そんなときは新しいタイプの便秘薬も試すとよいということでした。

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